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ガラスの振動と降伏を統一説明
要約
東北大学らの国際共同研究は、ガラスの分子振動を説明する連続変数の平均場スピングラスモデルに周期的外力を加え、振幅が大きくなると可逆から不可逆へ転移して降伏が起きることを理論的に示し、微視的振動と降伏を結び付ける道筋を示したと発表しました。Physical Review Lettersに掲載されています。
本文
東北大学は1月7日、ガラス特有の分子振動を説明するために用いられてきた理論モデルに着目し、そのモデルに外部から力を強く加えるとある時点で急に破壊が始まる「降伏」が起きることを理論的に示したと発表しました。研究は東北大大学院理学研究科の須田誠大学院生を中心とする国際共同チームによるもので、成果は学術誌 Physical Review Letters に掲載されました。ガラスは液体の分子がランダムな配置のまま固まった状態で、建材や電子部品など幅広く使われる一方、物理的性質には未解明な点が多く残されています。近年は種類に関係なく現れる分子振動と降伏の共通性が注目されており、今回の理論的結果がこの議論に関わるものとなっています。
報告された主な点:
・研究で用いられたのは、連続変数を持つ平均場スピングラスモデルという数理モデルです。
・そのモデルに一定振幅を持つ周期的な外力を与え、振幅を変えた条件で挙動を比較しました。
・外力振幅が小さい場合は1周期ごとに元の状態へ戻る可逆的な振る舞いを示しました。
・振幅がある閾値を超えると同じ状態へ戻らない不可逆的な振る舞いに転移し、これが降伏の特徴と一致しました。
・研究チームは現在、降伏が起こる微視的仕組みや熱の影響を並行して調べており、実験や分子シミュレーションとの照合を進める予定です。
まとめ:
今回の理論的解析は、ガラスに見られる局在的な分子振動と、外力に応じて急に始まる降伏現象を同じ枠組みで扱えることを示しました。これによりガラス状態の理解が深まる可能性があり、将来的な材料設計や耐久性評価に資する基盤の一端を提供する見通しが示されています。研究チームは微視的機構や温度の影響を引き続き調べ、実験的な検証と照合を進める予定で、現時点では具体的な日程は示されていません。
