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let-7の成熟抑制機構を解明
要約
ヒトのTUT4、Lin28、pre-let-7からなる三者複合体のクライオ電子顕微鏡構造解析で、Lin28がpre-let-7特定配列を認識してTUT4をリクルートし、pre-let-7の3'末端がオリゴウリジル化され成熟が阻害される分子機構を示しました。今回の知見は創薬研究に貢献する可能性があります。
本文
東京大学の研究グループは、がん抑制作用を持つmiRNA「let-7」の成熟を抑える分子機構を、ヒトTUT4、Lin28、およびpre-let-7の三者複合体の構造解析と生化学的解析で解明しました。クライオ電子顕微鏡解析により、Lin28がpre-let-7の特定配列を認識してTUT4を複合体へ引き寄せる様子が示され、TUT4によるpre-let-7のオリゴウリジル化がどのように進行するかが明らかになりました。これにより、がん細胞で観察されるlet-7の発現低下の一因が分子レベルで説明されます。研究成果は2026年1月12日に『Nucleic Acids Research』誌にオンライン掲載されました。
明らかになった点:
・Lin28がpre-let-7中の保存された配列を特異的に認識し、TUT4をリクルートする構造が観察された。
・TUT4はN末端のLIMとC末端の触媒モジュール(CM)を持ち、LIMのZFとLin28のZKが相互作用してRNAを挟み込む形で配列認識を行う。
・伸長段階ではCM内のFinger2がpre-let-7の二本鎖部位を掴み、LIMとCMが複合体を安定化して3'末端を触媒部位へ導くことでオリゴウリジル化が進行する。
・オリゴウリジル化されたpre-let-7はDicerによる成熟化が阻害され、その後分解されることで成熟型let-7の発現が低下する。
まとめ:
本研究は、Lin28依存的にTUT4がpre-let-7をウリジル化して成熟を阻害する一連の分子過程を明確に示しました。がん細胞でのlet-7低下の分子基盤理解が進むことで、関連する創薬研究や応用研究の基盤に資することが期待されますが、具体的な臨床応用や開発のスケジュールは現時点では未定です。
