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変性指紋の検出、PEEMで可視化
要約
理研、兵庫県立大、高輝度光科学研究センターがSPring-8の放射光軟X線光電子顕微鏡(PEEM)を用い、高熱で有機成分が失われた指紋試料から塩化ナトリウムの痕跡を検出し、隆線パターンを可視化する手法を示しました。火災や発射後の遺留品での検出につながる可能性があるとしています。
本文
理化学研究所、兵庫県立大学、高輝度光科学研究センターの共同研究チームは、SPring-8に設置された放射光軟X線光電子顕微鏡(PEEM)を活用し、高温で変性した指紋試料から指紋隆線を可視化する手法を発表しました。従来の光学顕微鏡やSEM-EDXでは有機成分が失われた試料の検出が困難でしたが、耐熱性のある無機成分に着目して解析を行った点が背景です。成果は学術誌「Analyst」に掲載されています。
主な観察結果:
・ボランティアの指紋をシリコン、SUS(ステンレス)、アルミニウム、ガラス基板に採取し、加熱用は400度で1時間加熱して変性試料を作製した。
・光学顕微鏡とSEM-EDXでは、加熱後のSUS、アルミ、ガラス基板上で隆線の観察は困難だったが、シリコン基板では確認できたとする。
・PEEM観察では全基板でNa K吸収端付近において、直径約10μmの粒子状塊が隆線に沿って連なって見えた。
・粒子塊はさらに拡大すると直径約1μmの微粒子の集合で、内殻吸収スペクトルから塩化ナトリウム(NaCl)結晶であることが裏付けられた。
まとめ:
今回の手法は、加熱などで有機成分が失われた遺留指紋に残る無機成分を標的にしており、PEEMでナトリウム由来の粒子配列を可視化できる点が示されました。火災現場の遺留品や発射後の薬莢などからの指紋検出につながる可能性がある一方で、現時点での現場導入や運用に関する公式な日程は未定と伝えられています。
