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金星地下で直径1kmの溶岩洞の証拠を特定
要約
トレント大学チームがNASAのマゼラン探査機の合成開口レーダー画像を再解析し、金星ニクス・モンス地下に直径約1km、深さ375m以上、周辺から少なくとも45kmにわたる溶岩洞の証拠を特定したと報告されました(Nature Communications掲載)。
本文
イタリア・トレント大学の研究チームが、1990〜1992年にNASAの探査機マゼランが取得した合成開口レーダー(SAR)データを最新の画像解析技術で再解析し、金星の地下にトンネル状の空洞がある証拠をとらえたと報告しています。発表は査読誌『Nature Communications』(2026年2月9日付)に掲載されました。金星は厚い二酸化炭素の大気と硫酸の雲に覆われ、地表は約460℃、約90気圧と極めて過酷な環境であるため、地下構造の確認は難しいとされてきました。この解析は、そうした観測の制約を踏まえた上で古いレーダー画像を精密に読み直した成果です。
解析で示された点:
・使用データはNASAの探査機マゼランの合成開口レーダー画像の再解析です。
・対象領域はギリシャ神話にちなむ火山領域「ニクス・モンス」周辺です。
・特定された空洞は直径が約1km、天井の厚さは少なくとも150m、内部の深さは375m以上と推定されています。
・地表に見られる天窓状の崩落などの痕跡から、地下トンネルは周辺を含め少なくとも45km以上に延びている可能性があるとしています。
・この成果は金星の溶岩活動や地下構造に関する従来の仮説を裏付ける手がかりとして位置づけられています。
まとめ:
今回の解析は、長年議論されてきた金星の溶岩洞の存在を裏付ける証拠を示した点で重要です。分厚い天井に守られた地下空間は、金星表面の厳しい環境と比べて相対的に条件が異なる可能性があるため、将来の探査ミッション(例:ESAのエンヴィジョンやNASAのヴェリタス)で着陸候補地や活動拠点の検討材料になると期待されています。地下の詳細な構造把握には、次世代の高解像度レーダー搭載機による追加観測が必要で、具体的な調査計画や日程は現時点では未定です。
