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大阪公大、テラヘルツ波の損失抑制現象を発見
要約
大阪公立大学の研究チームは、希薄窒化ガリウム砒素(GaAsN)に40フェムト秒レーザーを照射して得られたコヒーレント縦光学フォノン由来のテラヘルツ波を時間記録し、窒素の混晶化に伴う電子有効質量の増大が電子–フォノン散乱を抑え、フォノンの減衰時間が延びる現象を確認したと発表しました。論文はJournal of Applied Physicsに掲載されています。
本文
大阪公立大学の研究チームは、希薄窒化ガリウム砒素(GaAsN)試料にパルス幅40フェムト秒のレーザーを照射し、発生したコヒーレント縦光学フォノンに起因するテラヘルツ波の波形を時間の関数として記録しました。得られた時間波形を解析した結果、窒素の混晶化により半導体内の電子有効質量が増大していることが示唆され、これが電子とフォノンの相互作用を弱め散乱を抑制していると研究チームは報告しています。研究は大阪公大大学院 工学研究科・電子物理系の竹内日出雄准教授らによるもので、成果はJournal of Applied Physicsに掲載されました。次世代無線通信で想定されるテラヘルツ帯のデバイス設計に関わる基礎的知見として注目されています。
実験で確認された点:
・試料は希薄窒化ガリウム砒素(GaAsN)で、パルス幅40フェムト秒のレーザー照射でコヒーレント縦光学フォノンを励起したこと。
・励起に伴うテラヘルツ波の時間波形を記録し、波形解析を行ったこと。
・解析の結果、窒素混晶により電子有効質量が増大していると判断されたこと。
・電子有効質量の増大により電子の応答が遅くなり、電子–フォノン散乱が抑えられ、フォノンの減衰時間が長くなったと結論づけられたこと。
・研究成果はJournal of Applied Physicsに掲載され、竹内日出雄准教授らのチームによる発表であること。
まとめ:
今回の結果は、窒素添加による電子有効質量の制御がテラヘルツ帯でのエネルギー損失抑制に関わる可能性を示すものです。高周波デバイス設計に不可欠とされるSパラメータの理解にもつながるとされ、テラヘルツ帯を用いる6GやBeyond 7Gの研究開発で材料設計の参考になり得る点が示されました。現時点では今後の具体的な実用化スケジュールは未定です。
