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立教大、金量子ニードルで変換効率の世界記録
要約
立教大学の研究チームは、42個の金原子で構成される「金量子ニードル」を増感剤に用い、近赤外光を可視光へ変換する三重項-三重項消滅型のフォトンアップコンバージョンで世界最高の効率と低閾強度を両立させたと発表しました。808nmで21.4%、936nmで15.0%の変換効率が報告されています。
本文
立教大学などの共同研究チームは、針状のコアを持つ42原子の金クラスター超原子「金量子ニードル」を増感剤として用いることで、近赤外光を高輝度な可視光へと変換する技術を報告しました。手法は三重項-三重項消滅に基づくフォトンアップコンバージョンで、弱い光条件でも駆動可能な低い閾強度を示した点が注目されています。成果は国際誌Angewandte Chemie International Editionに掲載されました。背景として、太陽光には近赤外領域のエネルギーが多く含まれる一方で既存技術では利用が難しい波長帯があることが挙げられます。
報告の主な点:
・増感剤として用いた金量子ニードルは42個の金原子からなる針状の超原子構造です。
・808nm励起で変換効率21.4%、936nm励起で15.0%を達成し、従来報告を上回る高効率を示しています。
・アップコンバージョンが効率よく起こり始める閾強度は低く、疑似太陽光レベルの弱光でも駆動可能としています(報告値では約0.14 W/cm2程度)。
・発光体ルブレンのスピン統計因子(f因子)は0.58と評価され、系全体の発光寄与が確かめられています。
・金量子ニードルは構造を伸長させることで1000nm超への吸収拡張が可能であり、将来的な応用の可能性が示唆されています。
まとめ:
今回の報告は、近赤外光を可視光へ変換する効率と低閾強度の両立を実証した点で注目されます。研究は素材設計に基づく基礎研究段階であり、実用化や製品化に関する具体的な日程は現時点では未定とされています。今後は吸収波長の拡張やデバイス応用に関する追加の検証が課題になると考えられます。
